
恋ばか
第37章 ~お慕い申し上げます~
「三神!!」
ニック様が向こうに帰ってから、もうすぐ一週間。
「はい、どうしました?」
なにやら慌てた様子で、留架様が私の部屋に入って来られました。
「さっき、連絡があって…」
留架様の話は、向こうに出張に行くというものだった。
「それはまた急な話ですね。」
「うん。 それで、妙なんだけど…」
急な出張は別におかしくはないのに、留架様の様子がおかしい理由がわかった。
「春架と一緒に…しかも、行くのはニックのお父さんの会社なんだよね。
今は、特に新しい契約をすることもないし…」
ニック様の…?
「…………」
「あ、まぁ…その…とにかく、向こうに行ってくるから。
たぶん、ニックと一緒に帰ってくると思う。」
「わかりました。 荷物の準備をしておきます。」
ということは、留架様が帰って来られるのは三週間後ですか。
「三神~、いる?」
「あ、はい。」
留架様とのお話が終わったところで、誰かが部屋に入ってきた。
「あれ? 亮じゃん。」
「? どうして留架がここに…」
私としては、亮様がここに来ることの方が珍しい。
「こっちの台詞だよ。 亮がここに来ることなんて、そんなにないでしょ。」
「まあね。 で、留架はどうしてここに?」
「明日からアメリカに出張に行くのことになったから、三神にそれを伝えに。」
留架様の言葉に、亮様は驚かれたようだ。
