
恋ばか
第37章 ~お慕い申し上げます~
「あ、はい。 わかりました。」
私も、以前留架様に頼まれていた仕事を持って行きますかね…
「さ、行きましょうか。」
「はい。」
小内君と一緒に部屋を出て、留架様のお部屋に急いで向かう。
「失礼します。」
「どうぞ~。」
扉をノックしてお部屋に入ると、留架様と亮様、それにニック様がテーブルを囲んで座っていらした。
「遅くなってしまって申し訳ありません。」
「ううん、気にしないで。 忙しいのに呼び出してごめんね。」
留架様はそう言うと、茶色い封筒を取り出された。
「湊さん、次から次へと申し訳ないんだけど…これ、お願いできる?」
「あ、はい。」
小内君は封筒を受け取り、完了した仕事の資料を代わりに渡した。
「ありがとう。 相変わらず、仕事が早いよね。」
「いえ。」
そんなやり取りを見ていると、部屋の扉がノックなしに開いた。
「ちーっす。」
「あ、境。」
境様と黒澤さんがいらっしゃったのだ。
「よう。」
「遅かったね~。」
「いろいろあったんだよ。」
留架様達のお話しの邪魔をしてはいけないよな。
「留架様…以前頼まれていた仕事です。」
「あ、ありがとう。 もう終わったの?」
留架様に資料を渡し、部屋を出ようとした時、境様に声を掛けられた。
「三神…お前、まだ留架の仕事手伝ってんの?」
「? はい。」
「なんでそんなこと聞くの?」
なにか問題でもあるのでしょうか?
「いや、だってさ…三神を雇ってるのは亮の家なんだろ?
なのに、亮じゃなくて留架の仕事を手伝ってるんだろ?」
「あぁ…そういうことね。」
なるほど。
境様にはお伝えしていませんでしたね。
「三神への給料は、ちゃんと俺が払ってるよ。
もちろん、仕事を頼んでる湊さんの分もね。」
「やっぱ、その辺はちゃんとしてるのか。」
そうなんです。
私と小内君の雇い主は、留架様なんです。
