
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第17章 夢の終わり
「逢えます、きっと逢えますよ。だって、厳現世で母娘としてめぐり逢えたんだもの、次の世でも、その次の世でも何度生まれ変わったとしても、きっとお嬢さまは奥さまの可愛い娘として産まれておいでになって、お二人は出逢うことができますよ」
どうか、この言葉が、心が理蓮の持つ本来の優しい心に届いて欲しい。香花は一縷の望みを託して切々と訴えた。
ふいに沈黙が訪れる。女中のソンジュは固唾を呑んでそんな二人のやりとりを見守っている。
香花は儚い期待を抱いて、理蓮を見つめた。
息のつまるような静寂を唐突に破ったのは理蓮の言葉だ。
「何を言っているのだ、素花。何故、そなたはこの母を〝奥さま〟などと他人行儀に呼ぶ? 可哀想に、重い病気のせいで、心が混乱してしまっているのだな」
理蓮は世にも優しげな微笑を浮かべると、手を伸ばし香花の乱れた髪を撫でた。
「このような有様では、到底、そなたを外に出してやることはできぬ。まもなく婚礼を控えているというのに、何とも労しいことよ」
理蓮は愁いに沈んだ表情で言い、香花を見つめる。その視線は誰が見ても、心底から娘を案じる母親の慈愛に満ちたものだ。
どうか、この言葉が、心が理蓮の持つ本来の優しい心に届いて欲しい。香花は一縷の望みを託して切々と訴えた。
ふいに沈黙が訪れる。女中のソンジュは固唾を呑んでそんな二人のやりとりを見守っている。
香花は儚い期待を抱いて、理蓮を見つめた。
息のつまるような静寂を唐突に破ったのは理蓮の言葉だ。
「何を言っているのだ、素花。何故、そなたはこの母を〝奥さま〟などと他人行儀に呼ぶ? 可哀想に、重い病気のせいで、心が混乱してしまっているのだな」
理蓮は世にも優しげな微笑を浮かべると、手を伸ばし香花の乱れた髪を撫でた。
「このような有様では、到底、そなたを外に出してやることはできぬ。まもなく婚礼を控えているというのに、何とも労しいことよ」
理蓮は愁いに沈んだ表情で言い、香花を見つめる。その視線は誰が見ても、心底から娘を案じる母親の慈愛に満ちたものだ。
