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月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】

第17章 夢の終わり

 女将は笑って続けた。
「あんたらが本当の兄妹なのかってことも訊いてきたね。後は、あんたらがどこから来たのかってことも」
「それで、女将は喋ったのか?」
「だって、あいつらもそれなりの対価を払ってくれたからさ。喋らないわけにはゆかないだろ。まあ、知ってることは教えてやったさ。兄妹だって言い張ってるけど、どう見てもそうは見えないとか、あんたらが漢陽から来たらしいってことくらいのもんかねぇ」
―この糞婆ァ、殺してやろうか。
 一瞬、本気で考えたほど、腹が立った。
「ま、その程度しか教えちゃいないから、安心しなよ」
 のんびりと言う女将に、光王は噛みつかんばかりの剣幕で言った。
「それだけぺらぺらと喋れば、十分すぎるだろうが」

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