
恋は甘い香りと共に
第1章 はじまり
中村翔が綺麗な目を嬉しそうに細めて私を見上げた。
「こんなにおいしいケーキ、久々に食べたよ」
明るい茶色、というよりは金色にちかいやわらかそうな髪の毛がキラキラ光ってまぶしい。
というか笑顔がまぶしい。
やっぱり人気モデルなだけあって格好いいなあ。
今までスッゴく嫌っていたけど、私の父が作ったケーキをおいしいと言ってくれる人なら悪い人じゃ無いのかもしれない。
「ありがとうございます!父のこと誉められるの、好きなんです」
ばっと頭を下げて気づいた。
嬉しくなってつい余計な事を言ってしまったーーー!
「え、お父さん?あらしちゃん、ここの子どもなの?」
金山悠がびっくりしている。
てか面倒くさくてあらしちゃんになってるよ…。
まじ誰よそれ…。
