
恋は甘い香りと共に
第1章 はじまり
「ただいまー」
自転車で学校から20分、そんな距離に私の家はある。
自転車を止めて裏口から家にはいる。
二人とも店で忙しく働いているので「おかえり」と迎えてくれる人はいないがそれを寂しいと思ったことはない。
急いでブレザーとセーターを脱ぎ、Yシャツの上から店の制服を着る。
店の制服、といっても赤のギンガムチェックのエプロンに店の名前『bonheur』のロゴが入っているだけのものなのだけど。
おろしていた腰まである長い黒髪を頭上で一つにまとめる。
鏡で前進に変なところがないか確認をして。
いざ、出陣!
