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掌の浜辺

第1章 春 - story -

17.スタ-ティング

正装って
何となく緊張するから
嫌な感じだ


 駅まで歩いて10分少々、そこから電車で終点まで行くのに35分、そしてバスに乗り換えて約8分、実習先に到着。今の時間、時計を見ると7時を過ぎたころ。ちょ-どい-かな-。
 ギュィ-
 「おはようございます」
 「おはようございます」
 オレはすぐ尋ねた。
 「あの、明日から5日間、福祉実習があるんですけど、その事前打ち合わせの件でお伺いしたんですけど」
 「はい」
 「実習を担当していただいている金井さんはいらっしゃいますか?」
 事務室の人は金井さんと言ったあと、間を置いて少々お待ち下さいと言葉を発した。
 (出勤簿にハンコ確認、外勤なし)

 「職員室か会議室のどちらかにいらっしゃると思いますので、そちらに行ってみて下さい」
 「わかりました。ありがとうございます。失礼します」
 オレは靴を靴袋にしまって、ネクタイを調節し、まず職員室に向かった。その扉をコンコンとノックする。
 「失礼します」
 何人かの職員がいる。誰に声かけよ。あ-。こ-ゆ-ときのために、受付みたいなのありゃ-い-のに。てか、何でこ-ゆ-ときオレ優柔不断になるんだ? わけわかんね-。あ-。も-誰でもい-から声かけとこ。
 「金井さん、いらっしゃいますか?」
 「金井さん、来園の方です」 「はい」
 背は高い。キリッとした目に、セットされた短髪がとても爽やかだ。体型も細身でスポ-ティな感じ。あ-やべ-。かっけ-。
 「初めまして、金井です。赤川くんですね?」
 「はい。はじめまして。赤川です」
 「それじゃ、会議室行きます。こちらです」
 「はい」
 オレは緊張しながら金井さんの横を歩いた。

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