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掌の浜辺

第1章 春 - story -

 ジリリリリリリリ
 朝日が昇り始めた明け方、午前5時、目覚まし時計の大音量が部屋中に響き渡る。バン!とボタンを叩きつけて音を止め…あと1分寝よ。ふ-。1秒ずつ数えとこ。60、59、58、57、56、あ-寝そ-だから起きよ。遅刻なんかできね-し。身支度を済ませ、朝ごはんの準備をする。
 ガチャン
 チチチチ
 軽く油をひいたフライパンに火をかけ、野菜炒めを作る。その間は冷凍しといた白飯をチンして、と。あ。おつゆど-すっかな-。野菜を炒めながら考えていたが、今からやるってのも何かおっくうに感じる。ま-いっか今日は。シンプルに2品目で朝ごはんだ。
 「いただきま-す」
 モグモグ
 うん。まずいな-。失敗作。あ。でもイモうまいかも。てか調味料のせ-か? 部分的に濃くなってたり薄味になってたりするし。しっかり混ぜときゃよかった。ごはん若干かたいし。ははは。苦笑いがこぼれた。
 「ごちそ-さま」
 とりあえず食べたって感じだな-。ま、腹は満たされたからいっか。食器洗いへ移る。
 シュゥシュゥ
 キュッキュッ
 食器洗いのときって何か知らんが妙に力入んだよな-。手に。
 ジャ-
 シュッ
 洗い物が終わったあとは洗面所で石けんを使って手をしっかり洗うようにしていりのだが、これはオレが肌が荒れやすいからやってんだけど、全然効果がない。いつまでたっても左手も右手も指先は荒れたまま。薬つけても治んね-し。てか逆に悪化してんじゃね-か? 買い替えっかな-。
 「ん-」
 (今日ドラッグストア寄るか)


ハブラシで歯を磨き
洗顔料で顔を洗い
ひげそりでひげをそり
ス-ツに着替える
という一連の動作で
今週は時間が過ぎていきそうだ
靴は革靴をはいて
黒い手提げカバンを持ち
Yシャツにネクタイをしめた
って
これなら
どこかのサラリ-マン
…かよ

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