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Soul Of Blood

第1章 村と一本の電話

第十話 覚醒

「ロイィィ!!!」

断末魔の叫びってこの事を言うのだろうか…

一瞬、カイトの声にならない程の叫び声が聞こえたような…

あぁ…、世界が…暗くなって…

「ぐあぁっ!!」

「!」

叫び声で目を覚ます…

ゆっくりと目を開けるとカイトが怪物に押さえ込まれている

何をする…俺の仲間に…手を出すな…

そう叫びかった… だけど声が…叫びが出ない…

喉元が痛い…

「離せ!!」

【いいのか… 仲間が苦しんでいるのに何も出来なくて?】

頭の中に声が聞こえる 低い男性の声

「…うるさい…」

【お前は死んでもいいのか?】

「…うルさい…」

一瞬、声が歪んだ気がした

【だったら立て小僧】

『ダマれ…』

段々と声が歪みに染まる

ふと身体が軽くなり不思議に痛みも感じない

【我はお前の中に住み着く者…】

「オれ…ノ…なカ…に?」

ゆっくりと立ち上がると手を差し伸べる少年がいる

「…おレ?」

もう一人の自分?

【さぁ、手を伸ばせ我が手を受けよ】

操られたかのように手が伸びる

手を握ると…

キイィィンッ!

甲高い音が鳴り響く

その音と共に目の前にいる自分が割れた鏡のように割れている

ピシィッと音を立てながら割れ目が広がる その時

パリィンッ!

乾いた音が鳴り響く

そして声が聞こえた

【目覚めよ、我とお前の名は同じ名…】

「同ジ…名前…?」

何を…言っている?

【我が名は、『八岐大蛇(やまたのおろち)』なり!】

「八岐大蛇…!」

『うああぁぁァァァァァァァァッッ!!!!!!!!』

ロイは立ち上がり、巨大な叫びを上げた

その声はもう歪んでいた

「ロ、ロイ!!?」

「!?あ、あれは…!」

二人は仰天する もうロイは二人が知っているロイではなかった

背中には八本の触手…いや、大蛇の首が唸っている 更に八本の尻尾もある

『殺す殺す殺す殺す殺す殺すコロすコロすコロすコロすコロスコロスコロスコロス!!!!!!!』

完全に何もかも歪んでいる

「ほ、本当にロイか!?」

そしてその八本の首が天高く叫ぶ

『グオォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!!』

その叫びが第二戦開始のゴングとなる

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