テキストサイズ

夢幻の蜃気楼

第3章 異変

「お前さ、もしかして馬鹿か?」
突然、髑髏のピアスをした男の無礼すぎる言葉に、僕も憮然となる。
人が素直に礼を言ってるのに、何の前触れもなく馬鹿扱いするなんて失礼すぎるだろ。
「こいつ、これからどうなるかなんてわかってねえのさ」
小馬鹿にした二人の会話に、僕は軽い混乱に陥っていた。

二人のいう意味がわからない。


僕が半分固まっているのをみた二人はますます気をよくしたようで、赤毛の男が僕の顎を掴み、彼と向かい合うように固定される。

「お前、自分の置かれた立場、よくわかってねえようだから教えてやるよ」
獲物を捕まえた狩猟者のように僕を見下ろす男。
「お前は俺たちが拾った大事な奴隷なんだよ」
当たり前のように言い放った彼の台詞に、僕はうまく意味を掴めず、瞬き一つできず、ただ脳内で彼が放った台詞を何度も復唱していた。


そんな僕の反応を面白がって観察している二人。
「こいつ、固まってるぜ」
ははは、と声をあげて笑う髑髏のピアスをした男。
赤毛の男もまた笑みを浮かべながら、僕に顔を近付けてくる。
「つまりお前はこれから性奴隷として売られ、欲にまみれたジジィどもの家畜として飼われるってわけよ」
厭らしい笑みを張り付かせたまま、こともなげに言い切った男に、僕は信じらずに顔を硬直させるしかなかった。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ