
激愛~たとえ実らない恋だとしても~
第11章 第三話〝花笑み~はなえみ~〟・其の参
「今更謝って許してくれるとは思えぬが、今の俺には詫びることしかできない。俺には、そなたが必要だ。俺はいずれ尾張一国より、よほど重いものをこの身に背負わねばならぬ。そなたにはこれまで以上に苦労をかけるであろうが、それでも、俺は美空と一緒にいたい。そなたの力を俺に貸してはくれぬか? こんな俺だが、改めて言う。俺についてきてくれるか?」
直截な言葉であった。
何より、孝俊が美空を心から必要としているなのだという気持ちが伝わってくる。
尾張一国より、よほど重いもの。それが、この日本という国であることを美空はよく知っている。
この男は、その肩に今より更に重いものを背負ってゆかねばならない。征夷大将軍、世に隠れなき武家の棟梁、そんな男の妻として自分がふさわしいのかどうかは判らない。
それでも。
たとえ孝俊の力にはなれなくても、孝俊が疲れた時、いつも傍にいてその安らぎになれたら、安らぎを与えられる存在になれれば、それで良い。
「私でよろしければ、どうか、どこまででもお連れ下さりませ」
美空が言った。
孝俊が美空を見つめる。
真摯な瞳だ。
その視線は、これまでのような冷ややかさはなく、かすかに持ち上げた唇の端にも皮肉の影は見当たらなかった。
抱き寄せられるままに、美空は孝俊の愛撫に身を委ねた。
白梅のそこはかとなき香りがかすかに香った。
直截な言葉であった。
何より、孝俊が美空を心から必要としているなのだという気持ちが伝わってくる。
尾張一国より、よほど重いもの。それが、この日本という国であることを美空はよく知っている。
この男は、その肩に今より更に重いものを背負ってゆかねばならない。征夷大将軍、世に隠れなき武家の棟梁、そんな男の妻として自分がふさわしいのかどうかは判らない。
それでも。
たとえ孝俊の力にはなれなくても、孝俊が疲れた時、いつも傍にいてその安らぎになれたら、安らぎを与えられる存在になれれば、それで良い。
「私でよろしければ、どうか、どこまででもお連れ下さりませ」
美空が言った。
孝俊が美空を見つめる。
真摯な瞳だ。
その視線は、これまでのような冷ややかさはなく、かすかに持ち上げた唇の端にも皮肉の影は見当たらなかった。
抱き寄せられるままに、美空は孝俊の愛撫に身を委ねた。
白梅のそこはかとなき香りがかすかに香った。
