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二度目の初恋

第1章 カレシ

高校に入って約1年。



今は2月。

バレンタイン間近で浮き足だった空気の中、親友の小森紘夏(こもり ひろか)が頬を赤く染めながら嬉しそうな声で言う。



「私、彼氏できた!」



一瞬空気が凍ったよね。


「………彼氏っ!?」


「ちょっ!!声おっきいよ!?」



思わず大声を出したあたしの口を紘夏は両手で塞ぐ。


「ほ、ホントに?いつの間に!?相手は誰!?」



あまりの衝撃で、紘夏を質問攻めにする。


「彩葉(いろは)、動揺しすぎ!」


紘夏には苦笑いされるが、関係ない。



「男だよ?あり得ない…」


「はぁ。また始まったよ、彩葉の苦手意識」



そう、あたしは男に苦手意識をもってしまう。


男性恐怖症とかじゃなく、男という生き物が苦手だ。


「だって………」


あたしが顔をしかめると紘夏は、あははと笑う。



「何でそんなに苦手かな?普通なのに」


「………それがわかったら苦労しないのですよ」



別に普通に男子と仲良くしたいと思うんだけどな。


無意識に壁を作っちゃうって言うか……。



「…って、そうじゃなくて!その彼氏って誰!?このクラス?」

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