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いつもそこには、君がいて

第2章 2 水曜日


「はぁ、ほんと、どうしたんすか、フジコさん? らしくねぇミスはするは、笑ってはくれないは……。調子狂うじゃないですか」

「菊川さん、峰さんにもいろいろさ、事情ってもんが……」

「あ、もしかして、失恋とか?、なーんて。そりゃ、ないか」

 こんな“的外れ”もきっと菊川くんなりの気の遣い方で、私が言い返しやすいようにわざと意地悪な言い方をしてくれてるってことは、わかってるんだけど……

 ごめん、今は全然余裕がなくて、ただ悲しくなるだけだ。

 泣けてくる。



「売り場手直しして、そのままあがって。お疲れ様」

 目に溜まった涙に気づかれないように席を立ち、そう言うのが精一杯だった。

 なんだか、奇妙な脱力感。

「え……あ、はい。お疲れ様で……」

 菊川くんの返事を聞き終わる前に、私は通用口から外に出ていた。





 1歩、2歩、3……

 涙が落ちた。




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