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ブルースカイ

第11章 昌孝

「せやな。ほんまに人間なんて、きっかけあったら変わるもんやな。余裕ないと気づきもせんけど。」









俺の回りて、男にしても、女にしても、寂しい奴が集まるんやな。それは多分、俺自身が寂しいからなんやろうな。









夏の夜の生温い風が頬をくすぐる。目の前には六甲アイランドの夜景が広がっていた。










「なんか寂しい光やな。」









「多分それは、ソウが寂しく感じてるからやろ。」









「寂しいか。自分らに囲まれて、恵がおって、今は不満らしい不満もないんやけど、寂しいんかな?」









「ほな、切ないんやない?」









「確かにちょっとした事で、センチメンタルな気持ちになる時あるわ。特に美香がらみやな。」









お互いに無言で酒を飲む。









美香はいまだに俺を苦しめる。美香の最期が浮かんでは、体が硬直したり、動けなくなるのはよくあるし、何もやる気が起こらないのも、よくある事だ。









最近、症状の程度は軽くなってはきたが、年に1・2度は会社を休むほどの症状が出る。










いつになったら、美香とさよならできるんだろう。









「ソウ、部屋に戻ろうや。」









「ああ、せやな。」









2人で部屋の中に入り、飲みは遅くまで続いた。

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