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ブルースカイ

第10章 恵(中)

「笑顔の時は虫も殺さんような顔してるくせに、人は見掛けによらんわ。まあ、聡らしいけど。」



「アハハ、見た目は育ちがよくて、行儀がいいみたいに見えんねんてさ。」



「黙って表情ない時は、たまに目付きが怖いわ。」



「ギャップある男やろ?」



「やんな。一昨日の怒った時は相当怖い顔してたわ。嬉しかったけどな。」



恵の肩を抱いて引き寄せる。



「状況見えんくらい、頭きたん。」



恵も俺の肩に頭を乗せる。



「うちのために、嬉しかったわ。あの時、『聡に全て捧げよう』と思ってん。やから、終電まで粘ったん。」



「ありがとな。かわいいやっちゃな。」



恵は首を振って言った。



「うちの方こそ付き合ってくれて、ありがとう。」



俺は左手で頭を撫でる。

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