テキストサイズ

contract

第26章 case10 【私ハ貴方ノ手ヲ握ッテ】 3

極力隠れて、でもしっかり状況を見定める為、動きの速い2人に目を凝らす。

闘う姿は、どちらが優勢と簡単に解る状態では無いように思えた。

お互い、無傷ではなく、所々に血が出ており、罵倒の間の息も相当荒い。

掠る程度の致命傷にはならない傷を少しずつ、お互いに増やしていっている。

まるで、消耗戦。

ここまで、勢いで戻ってきたけれど、

私自身が斎に加勢することも、カナメという男に一矢報いることも

何も出来ない事は、解っている。

何が出来る訳でも無い。

何も出来ないけれど、それでも、ここまで来た。

出来ないと解っていつつ、何か、何か、なにか。

どうしたら。

どう・・・。

気持ちは、焦るばかり。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ