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第26章 case10 【私ハ貴方ノ手ヲ握ッテ】 3

家の外に置いてきぼりにした均さんは、玄関ドアの前で何やら喚いているけど、

『行かなくちゃ、いけない』

という結論が出た以上、迷わず階段を靴のまま上がる。さっきの幻は2階の方から見えた気がして。

・・・一応、用心に用心を重ね、音を立てずに歩く。

屋敷の中においては、地震で歩きにくいという事も無くなった。

時折、ドゴンッと遠くで爆発音が響くものの、遠くなので関係なさそう・・・に思える。

電気はついているものの、何故か何時もより薄暗く感じるのは、何時もと雰囲気が違うから?

歩いていると、金属の音が聞こえてきた。

叩きつけるような音。金属と金属を擦る様な音。

そして、斎と誰かの怒鳴り声。

「死にぞこないッ」

「非常に不愉快な存在ですよ。貴方は、特にッ!!」

「不愉快なのはこっちだ!!いったい何人の人間食べれば気が済む!?

これ以上、好きにさせてたまるか!!」

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