
contract
第3章 case2 【貴方ガ欲シイ】 1
そういえば、昨日の昼間は強引に、屋敷の中を案内された。理事長や理事長の一人娘の佐倉紗香に会いたくないから、絶対嫌って言ってたのに。
「アイツらには用を言いつけてある。この時間は帰らない」
普通なら使用人もいるだろう広い屋敷の中を、誰にも会わずに進み、
「いずれは寮じゃなくてこっちに住むから、中を覚えておかないと困るぞ?」
ってますます困るようなことを言いつつ、私の手を引いて歩く。
繋いでいる斎の手は、冷た過ぎない気持ちいい程度のひんやりさで、
暗闇の中で落とされるキスの時、優しく添えられる手の温度と同じ事をここで再確認出来てしまった。
・・・仮に本格的に屋敷に住み始めたら、佐倉紗香に何されるか解らないから、絶対無理!!って思う。
というか、大体理事長と親戚でもない私が勝手に屋敷に出入りするのは不自然。
そして、屋敷に住む理由は無い。斎に振り回されてるだけなのだから。
その割にはその振り回されるペースに、抵抗なく乗ってしまっている私もどうかとは思う。
慣れって恐ろしい。
「アイツらには用を言いつけてある。この時間は帰らない」
普通なら使用人もいるだろう広い屋敷の中を、誰にも会わずに進み、
「いずれは寮じゃなくてこっちに住むから、中を覚えておかないと困るぞ?」
ってますます困るようなことを言いつつ、私の手を引いて歩く。
繋いでいる斎の手は、冷た過ぎない気持ちいい程度のひんやりさで、
暗闇の中で落とされるキスの時、優しく添えられる手の温度と同じ事をここで再確認出来てしまった。
・・・仮に本格的に屋敷に住み始めたら、佐倉紗香に何されるか解らないから、絶対無理!!って思う。
というか、大体理事長と親戚でもない私が勝手に屋敷に出入りするのは不自然。
そして、屋敷に住む理由は無い。斎に振り回されてるだけなのだから。
その割にはその振り回されるペースに、抵抗なく乗ってしまっている私もどうかとは思う。
慣れって恐ろしい。
