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第16章 case7 【貴方ニ引キ摺ラレル】 1

「何がっ?」

負けないッと目線を反らさない私に、均さんは、

「手伝ってくれたら、斎の事教えてやってもいいけど?」

とっても魅力的な誘いをかけてきた。誘いというより、揺さぶりかも。

「・・・均さんって信じられない」

秘密主義の斎の事を少しでも聞けるなら、とは思うけど、この均さんが、素直に教えてくれるとは・・・どうしても思えない。

「信じるか信じないかは自由。ま、騙されついでに、時々この部屋を覗いてくれりゃいい。

後、変化があれば、斎に報告してくれ、以上だ」

言いたい事を一方的に言うと、煙草を銜え、部屋を勝手に出て行った。

パタン、と閉まったドアの音で、我に返る。

「ほんっと、拒否権無し?・・・ちょっと!!」

慌ててドアに駆け寄り、開けたけど、廊下には誰もいなかった。それどころか、屋敷のどこにもいなくなっていた。

現れた時と同じく、突然に。

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