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第16章 case7 【貴方ニ引キ摺ラレル】 1

数日後、屋敷の食堂で、あの男とばったり会う。

あまり関わる事は無いだろうと勝手に考えていたけど、思ったより早くばったり会ってしまって・・・何となく戸惑う。

斎に見つかると・・・イヤだな。何となく。

「へえ?屋敷の中を自由に歩ける訳だ」

「な、何か?」

「否、別に。結構気を許してる証拠だよな、と」

男は言う。

「斎は自分のテリトリーの中を勝手に移動されることを嫌う。ただ、例外は気に入った者は別にして。

で、俺もそこそこ気に入られてるって知ってるから、屋敷内である程度自由にできる。ある程度の利害の一致もあるしな。

的場って奴は、斎に操られてる訳でもねえのに、しっかり仕えてるから、出入りに文句は言わねえ。永依って女も同様、かな。

でも、絢乃チャンは斎の仕えてる訳でも無ければ、何か得になるモノをもたらす訳でもねぇのに、歩き回る自由が保障されてる」

「それで?」

私の事を全く知らない男に、私の行動範囲を何故ごちゃごちゃ言われなきゃいけないのだろうか、内心ムッとしたら。

「へえ?結構短気だな」

冷静に、というよりはマイペースに、私の気持ちを指摘した。

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