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恋のかたち

第9章 愛とセックス

秋豊は、パーティー会場でみせた作った笑顔と聞き慣れない丁寧な言葉で打ち合わせは滞りなくスムーズに終わった
「なぁ、お前庶民舌だよな?」
いきなりまたも失礼な発言にじとっと秋豊をみた
「悪いですか?元もと庶民なんです!」
「ふっ・・じゃあ決まりな」
予想に反した笑顔にむっとした気分は砕け散った

安くて旨い早いをコンセプトに掲げた定食屋に入る
明らかに場違いなオーラを漂わせた秋豊は気にせず入っていく

バイトの店員が秋豊をマジマジ見ていた。特に会話もなく、けれどもギクシャクするでもなく運ばれた料理を食べ終え、しばらく車を走らせた

時間は10時を回ると大きな百貨店で必要なものを買った。キャリーバックの色で悩んだ位は滞りなかった。
飲食店フロアの新鮮な魚を扱った店で昼食を取り、その足で会社へ向かった。
会社に着いたら隙を見て自宅に戻って下着をつけるつもりだった

すでに私有化したデスクとパソコンの前に座り、昨日からのメールを開いて整理を始めた

秋豊も同様に書類に目を通す。
舌打ちするのが時々聞こえるがいつものこと。仕事を手伝うようになってからの、優愛の日常になりつつある
注文を受ける度キビキビ文句も言わずに取りかかる

今日もずっと指示を受ける・・ので抜け出せない
流石にトイレを理由にしても時間が係るので無理そう

「優愛、取り次げ」
「はい」
「優愛、おかわり」
「はい」
「優愛、キス」
「はい・・・え?」
コーヒーを入れ直したカップを運び、秋豊の言葉に驚いて顔を上げた

涼しい顔した秋豊の顔がある
デスクは綺麗にパソコンも仕舞われている

コトっとコーヒーカップの乗った皿を置いた
「へ?」
と、少し間抜けな顔をした
「二度は言わねぇ」

真っ直ぐ優愛を見た秋豊
仕事に集中していた神経が切れ、一気に心拍が上がっていく

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