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それでも恋するドM娘

第9章 対峙

家に上がり、三人が座ってしばらく、気まずい沈黙が流れた。

その沈黙を最初に破ったのは朝霧であった。

「いい加減忘れたらどうだ? いつまでも佳菜子ちゃんを引きずって生きていくつもりか?」

朝霧らしい回りくどい言葉を省いた直接的な言葉に寺居は明らかにイラついた顔を見せる。

「お前にはかんけーねーだろ……」

「まあ、関係ないな。しかしな、お前の感傷に佐倉さんまで巻き込むのはどうなんだ?」

「それこそお前にはかんけーねーことだろ。俺はもう、ちさ、佐倉には振られた。佐倉が好きなら好きにしろよ」

「相変わらずだな、寺居。そうやってひねくれていれば誰かが慰めてくれると思ってるのか?」

朝霧と寺井は声こそ静かだが激しくにらみあう。

事情がつかめない千紗は二人の間でそわそわとした気持ちになる。

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