
君がくれたぬくもり
第31章 変わる
とりあえずお風呂に入ろうと、脱衣所の扉にかけてある札を“入浴中”に変えた。
男女で住んでいるので誤って入って来ないようにするための札だ。
「最悪…明日クリーニング行かなきゃ…」
クラブ用に買ったショッキングピンクのドレス。
お気に入りだったのに…
お酒臭くなったお腹周りを見てため息をつく。
その時だった。
―――ガチャ
――パタン…
「え!!?」
開くはずのない脱衣所の扉が開く。
そこにいたのは岳だった。
「ちょ…何?!
札、“入浴中”になってなかった!?」
「………。」
岳はニヤリと口角を上げ、こちらに近寄ってきた。
「な、何…?」
その鋭い目つきに陽菜は思わず後ずさる。
岳はそれでも近づいてきて…
ついに壁際まで追い詰められた。
