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たまゆらの棘

第4章 再臨

今、倫は藤原のマンションの前に立っていた。

(藤原に…今度は自分から言おう…)

「藤原…俺の恋人になって」と…


会えるだろうか…藤原に…

受け入れて貰えるだろうか…

倫はマンションの外で藤原を待った。

また、あの幻想的な玄関アプローチの大きな絵を、自分は見ることが出来るのだろうか…


わからない。

倫の胸は今、切なさと藤原への慕情で苦しかった。

気付けば、季節は、藤原と出会った5月の初夏だった…


「今度は…自分から…」

倫は初夏の日差しの中で藤原を待っていた。

上を見ると、あの時と同じように、木々の新葉の黄緑色が、目に眩しかった。


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