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たまゆらの棘

第3章 螺旋

倫が日本に帰る日が刻々と迫っていた。サムはこれからもずっと倫を大切にするからずっと一緒にいてくれないかと何度も誘った。だが倫の気持ちは変わらなかった。

最後の日、サムスンは倫に言った。
「倫、…君のおかげで俺は愛を知った。ありがとう。」
「そんな…大袈裟だよ、サム。僕は何もしていない。」
「君の美しさが俺を悪魔にしたり、天使にしたりした…どうか日本に帰って、倫の美しさに天使しか来ないことを祈るよ。」(僕は…いや…人間は…もう天使にはなれない…僕は堕天使…でもいつか…黒い羽根が白くなるのを夢見ている。)

倫は二十歳を過ぎてから親から離れられて自由に生きられることに胸をふくらませていた。

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