
たまゆらの棘
第3章 螺旋
パン、と頬を軽く叩かれて倫は起こされた。「気がついたかい?お姫様。」倫は起きようとした。が何故か全身に力が入らない…「シット…ワインに何か入れたな…」倫はろれつの回らない口で言った。サムはニヤニヤした後、大声で笑った。「俺のうさぎちゃん。」ああ…うさぎと呼ばれるのは初めてだなどと倫は麻痺した頭で考えた。これからヤられる…もう解ってる。倫は諦めた。頭の中が真っ白になって行くのを感じた。倫はベッドに横たわっていた。サムは倫の服を脱がせながら興奮してきた。倫の上にまたがり、自分のそれを倫の口の中に入れると「オゥ…オゥ…マリア」と勝手に変態らしく興奮してきた。「君は美しい…」サムは言った。二丁目にいた時、こんな仕打ちは日常茶飯事だったが薬を飲まされたのは初めてだった。サムはその夜、倫の体を好きにした。その卑怯な手を使って。倫の心は羽根をむしられる小鳥のようであった。藤原と別れて、実は真面目に仕事をして明るく生きたいと願っていたからだ。悪魔の自分を天使だと言ってくれた藤原…海外で体を売ることから身を洗い、働いて日本に帰りたかったからだ。
