
たまゆらの棘
第2章 燃ゆる日々
「…藤原…殺して…」倫はベッドの上で藤原にのしかかられた状態で言った。「殺して…お願いアンタに殺されたい…」倫は藤原の両手を自分の首に持って行った。倫は藤原に打ち解けてゆく度に、藤原に抱かれる度に、倫はこのまま死んでしまいたいと願った。「…殺せ…殺せよ…」倫は喘ぎながら呻いた。
いつか藤原は倫に聞いた事があった。
「君はなぜ、自分を苦しめる?」
「罪深いから…」倫は答えた。
「罪深い…か。教会に行きな。そこで懺悔だ。」藤原は冗談まじりに言った。倫は叫んだ。「馬鹿か!俺は神なんて信じていない。…神がいたらこんな俺は生まれてないはずだ。」藤原はそれを聞いて倫に近づいて耳打ちした。「…お前は美しい…神の賜物。」倫は鼻で笑って「らしいな。だがそれと引き換えに心はこんなにも醜い…」倫はうなだれた。
「…倫。愛しているよ。…どんなお前でも…」「は!愛?馬鹿馬鹿しいね!」倫は笑った。
「…愛ってなんだ?俺には解らない」倫は再度、うなだれた。倫は藤原に抱かれる度に激しさを求めた。それは自分自身も気づかぬ程に、藤原になついていく倫の証だった。倫は好きという感情が解らなかった。人を信じられない自分と、藤原の優しいキス…藤原に惹かれて行く自分のジレンマの中で、ただもがくことしか出来なかった。
好かれる事が、虐げられることと、倫の中でプロセスが出来ていたのかもしれない。その理屈は倫の生い立ちからすると、綺麗に一本の線で繋がった。
「…倫…殺せ以外は言えないのか?」藤原は倫の首を優しく締めて言った。「殺せ…俺を殺してくれ…」藤原には倫の「殺せ」と自分にいう言葉に、何故か「愛」を感じた。倫が自分に身を捧げ、倫には「愛してる」と言えないのだと…。この青年は、愛を語るどころか、愛しているという感情が、どんなものか解らないのだと。…「殺せ」と言われる度に藤原は「愛してる」と言われている気持ちがした。
いつか藤原は倫に聞いた事があった。
「君はなぜ、自分を苦しめる?」
「罪深いから…」倫は答えた。
「罪深い…か。教会に行きな。そこで懺悔だ。」藤原は冗談まじりに言った。倫は叫んだ。「馬鹿か!俺は神なんて信じていない。…神がいたらこんな俺は生まれてないはずだ。」藤原はそれを聞いて倫に近づいて耳打ちした。「…お前は美しい…神の賜物。」倫は鼻で笑って「らしいな。だがそれと引き換えに心はこんなにも醜い…」倫はうなだれた。
「…倫。愛しているよ。…どんなお前でも…」「は!愛?馬鹿馬鹿しいね!」倫は笑った。
「…愛ってなんだ?俺には解らない」倫は再度、うなだれた。倫は藤原に抱かれる度に激しさを求めた。それは自分自身も気づかぬ程に、藤原になついていく倫の証だった。倫は好きという感情が解らなかった。人を信じられない自分と、藤原の優しいキス…藤原に惹かれて行く自分のジレンマの中で、ただもがくことしか出来なかった。
好かれる事が、虐げられることと、倫の中でプロセスが出来ていたのかもしれない。その理屈は倫の生い立ちからすると、綺麗に一本の線で繋がった。
「…倫…殺せ以外は言えないのか?」藤原は倫の首を優しく締めて言った。「殺せ…俺を殺してくれ…」藤原には倫の「殺せ」と自分にいう言葉に、何故か「愛」を感じた。倫が自分に身を捧げ、倫には「愛してる」と言えないのだと…。この青年は、愛を語るどころか、愛しているという感情が、どんなものか解らないのだと。…「殺せ」と言われる度に藤原は「愛してる」と言われている気持ちがした。
