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Memory of Night 番外編

第5章 美少女メイドを捕まえろ!


 辺りはすっかり夜の闇に包まれていた。冬の空は澄んでいて、夜空を見上げれば星が瞬いている。

 後夜祭が始まる前に大まかな片付けは終えたけれど、校庭の隅にはまだテントや文化祭で使った器具など、祭の名残があった。

 後夜祭も、まだ続いている。

 けれども宵と晃はその喧騒を抜け出し、校舎裏にいた。


「今日は一日お疲れ様」


 晃はその言葉と共に、隣で身を隠すようにしゃがみこむ宵の頭をポン、と何度か叩いた。

 宵は無言で顔をあげる。

 クラスメイト同士、もう何度もかけ合った言葉だけれど、晃に言われるとなんだかくすぐったい気持ちになるのはなぜだろう。

 そんな気持ちを悟られたくなくて、つい晃を睨みつけてしまう。


「またそういう顔して。せっかく可愛いカッコしてるのに台無しだよ」


 晃は笑った。

 可愛い格好というのは、もちろんメイド服だ。結局明から逃げることはできず、再びメイドのコスプレをさせられメイクまで直された挙げ句後夜祭ではまるで見せ物のような扱い。

 集まってきたクラスメイトやまったく知らない子達にまで、写真やら写メを撮られた。

 それが嫌で、人気(ひとけ)のない校舎裏に逃げてきたのだった。

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