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Memory of Night 番外編

第5章 美少女メイドを捕まえろ!


「ほら、メイク直してあげるから! さっさと着た着た!」

「ちょ……っ、やだっつってんだよ!」

「アッキー! ちょっと借りるねこの子」

「どーぞ。煮るなり焼くなり好きにしてあげて」


 なんて物騒な。冗談じゃない。

 宵は断固として拒否するつもりだったが、明は聞く耳を持たず宵の腕を引き歩き出そうとする。

 そのマイペースさにも、そろそろうんざりしてきていた。けれども相手は一応女性。乱暴に振り払うのは躊躇われる。

 宵は晃に、ちらりと視線を向けた。

 助け舟を出してくれという意味での行いだったが、晃は素知らぬ顔で無視。

 それどころか、この状況を楽しんででもいるかのように、片手を振って容赦のない一言を告げた。


「お色直しかー。行ってらっしゃい」

「薄情者!」


 人通りの少ない校舎裏の通路に、宵の怒鳴り声が虚しく響き渡る。

 明と宵の後ろ姿はどんどん小さくなっていく。

 晃は二人の姿を眺めながら、楽しげに声を上げて笑った。

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