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Memory of Night 番外編

第5章 美少女メイドを捕まえろ!


 そもそもどうして晃がこの鍵をもっていたのかが気になった。

 宵は手首をさすりながら起き上がり、晃が持つ鍵に視線を落とす。


「それ、明たちが持ってるもんじゃねーの? なんでおまえが?」

「その明ちゃんに貸してもらったんだよ。鍵は用意した手錠の分だけあるけど、鍵の形はみんな同じらしい。だから一個借りてきた」

「いや、借りてきたって……」


 一体なんのために? そうする意図がわからない。

 にこやかに告げられ、宵はつかの間頭の上にハテナマークを浮かべていた。

 だがすぐにぴんときて、晃を睨みつける。


「ってことはあれか? ハナっから俺をクラスに連れてく気なんかなかったってことか? さっき手錠をかけたのは、変なプレイのためだけ……」

「ご名答」


 晃が宵の言葉を遮り、短く肯定する。

 同時に笑みを深め、軽い拍手まで。

 宵からしてみれば、なんだかもう唖然とするしかなかった。


「何度も言ってるだろう? 俺は君が苦労している姿を見るのが人生で一番の楽しみなの」

「聞いてねぇから!」


 そんなことを至福の楽しみにされたって困る。

 一体どんだけしみったれた人生なんだよ、と思わずつっこみたくなった。

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