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Memory of Night 番外編

第5章 美少女メイドを捕まえろ!


「……それでこんなに帰りが遅かったわけか。お疲れ様」


 放課後の悶着をあらかた晃に話すと、晃からはそんな言葉が返ってきた。

 口元には笑みが浮かんでいるので、またおもしろがっているのだろう。

 人の苦労話を肴にする晃にむっとはしたが、正直宵には怒る気力がない。

 どの道晃のこの反応は予想できていた。


「笑いごとじゃねーっての……」


 おかげで自分の家に帰ってきたのは九時過ぎだ。

 精神的に疲れ果ててしまい、晃が作っておいてくれた軽い夕食をつまみ、ざっとシャワーを済ませて今にいたる。

 ベッドでごろりと寝返りうち、宵は晃を振り向いた。


「つか、今さらだけどなんでおまえが俺んちにいるんだよ」

「一緒に帰ろうと思ってクラスに行ってもいないし、帰ってるのかと思ってここに来たら鍵が開いてたから。留守番」

「不法侵入っつーんだよ、そーいうのは。サツに突き出すぞ」

「それは大変だな。通報される前に口を塞がないと」

「……変態」


 晃は苦笑する。

 このまま泊まるつもりらしい晃の態度に、宵は特に驚かなかった。

 休日の前日にどちらかの家に泊まるのは、最近じゃ茶飯事だ。

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