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Memory of Night 番外編

第5章 美少女メイドを捕まえろ!


「か、飾りが足りなくなったんで、買い出しに行ったんだよ、男子何人かで」

「そっかぁ……っ。また逃げられた」


 明は大きく息を吸い込み、がっくりと肩を落としてみせた。


「じゃあさ、あたし家庭科室にいるから、帰ってきたらすぐに来いって伝えてくれる?」

「わかった。伝えとくよ」


 曖昧に笑って大山がうなづく。


「あ、あとこれ。この中からあいつに似合いそうなの選ばせておいて!」


 明は持っていた紙袋を差し出した。

 中に入っているのは、いろいろな色や髪型のウイッグだ。


「え……ちょ」

「よろしくー!」


 ほとんど強引に押し付けるような形で、大山に紙袋を預ける明。

 そのまま走り去ってしまった。


「……お疲れー!」


 いろいろと雑務に追われているらしい明の背にねぎらいのエールを送り、大山は教室内へと踵を返した。

 受け取った紙袋から無造作にウイッグを一つ掴んで眺めながら、向かう先は壇上の横。

 教室の入り口からはちょうど死角になる場所だった。

 大山はそこを覗き込み、からかうように声をかけた。


「――だってよ、宵。行かなくていいのか?」

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