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Memory of Night 番外編

第3章 熱々、バレンタインデー!


「今日も親いねーの?」


 帰りの電車の中、ふと思いついて宵はそんな質問をした。


「うん。普通に仕事。しかも今日はバレンタインだし、仕事終わったらドライブでもしてくるんじゃないかな。毎年そうだし」

「ふーん」


 それならそれで、晃の家に泊まるのに支障が出なくて良かったと思う。


「大丈夫。エッチはできる」

「だーかーら。場所を考えた発言をしろって」


 電車の中はちょうど部活を終えた学生達が帰る頃合いなのか、それともこれもバレンタイン効果なのかかなり混んでいた。

 二人はドア付近に立っている。

 かなりガヤガヤしているし、晃は小声だったので周りには聞こえていないと思うが、公共の場でそういう発言は勘弁してほしかった。

 だが、ふと見ると晃の口元は笑んでいた。これもわざとなのかと思うとそれはそれで質(たち)が悪い。


「そういえば、一ヶ月後にはホワイトデーだよな? 宵に何貰えるんだろう?」

「何食いてーの?」


 晃はにっこりと笑う。

 嫌な予感がして、宵は顔をしかめた。


「いーよ。宵の手作りのお菓子だったらなんでも」

「手作りって……」

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