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O……tout……o…

第1章 おとうと

 17

「そ、そんなに…」
 事前に訊いていて本当に良かった…

「そんなにわたしの事が好きなの?」
「え…あ、う、うん、だ、大好き」
 ドキドキ…
 胸が高鳴り…
 ズキズキ…
 未知の領域の疼きが昂ぶってくる。

 大好き…
 その甘い響きの言葉に心が震えてしまう。
 なぜなら…
 初めて云われたから。

 いや、男の人に…
 初めて告られたから。

 そしてしんちゃんは男だけど…
 義理の弟…
 つまりは他人だから。


 わたしはこの瞬間から、可愛い義理の弟、いや、本当の弟という存在から…
 一人の男として認識してしまったのだ。

 そう、一人の男として…

 そして…
 その言葉に、ドキドキと高鳴り、ウズウズと未知の領域が疼かせていた。

 そのせいか…
「ね、ねぇ、今さぁ、ソレで何をしていたの?」
 つい、そう訊いてしまう。

 それは、事前に聞いていた安心感のせい…
『普通の男なら皆ヤってるのよ…』
 普通なんだ…

 しんちゃんは普通なんだ…
 そんな安心感であった。

「えっ、な、何をって?」
 慌てて聞き返してくる。

「うん、だからぁ、何をして、ううん、どうやってたの?」
 それはわたしの無知が故からの、ある意味残酷な問い掛けといえた。

「えっ、ど、どうやってって…」
 しんちゃんは、かなりキョドってくる。

「あ、ねぇ、そうだ、ヤって見せてよぉ」
 深い意味は無かった…
 ただ、無知が故の興味からの軽い思いからであった。

「え、あ、見せてって?」
 だが、しんちゃんにとってこのわたしのコトバは…
 罪からの公開処刑並みの残酷なコトバであっただろう。

「ねぇ、いいじゃない、見せてよぉ……」
 だが、本当に、悪気や意地悪からではなかったのだ。

「え、あ、あぁ、うぅ…」
 だが、しんちゃんは、目を泳がせ、冷や汗を掻いていた。

「いいじゃない、前からヤってたんでしょう?」
 
 そう、フツーの男子は皆シている……

「あ、え、う、うん…」
 しんちゃんは、根負けしてしまう。
 

「じゃあ、よく見せて…さあ、見せてぇ…」

 これは本当に…
 未知の、性への、純粋な興味からの衝動であった。

 まさか、これが…

 この後の禁断の行為に…
 いや、禁断の愛へ通じていこうとは…
 この時は全く、予想もしていなかったのである。



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