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国家特別プロジェクト

第1章 オリエンテーション

壇上に立ったスーツ姿の担当官が、落ち着いた声で口を開いた。
「これからの三ヶ月間、皆さんには特別なプロジェクトに参加していただき、日々の生活を共にしながら、研修やグループワークを通じて“性”や“人との関わり”について理解を深めていっていただきます。細かい内容はここではお伝えしませんが、安心して臨んでください。」

“性の理解を深める”。その言葉に、会場がほんの少しざわめいた。

担当官の合図とともに、建物の見取り図がスクリーンに映し出され、説明が続いた。
 • 地下1~3階は研修施設
 • 1階はエントランスとホール
 • 2階は職員たちの事務室
 • 3~5階は男性の居住区。黒を基調にしたシンプルな部屋
 • 6~8階は女性の居住区。パステルカラーを基調にした、あたたかく可愛い雰囲気の部屋

「居住区は二人一部屋、各階十人。プライバシーを守りながら共同生活をしていただきます。」

思わず周りを見回す。―― この中の誰かと同じ部屋になって、三ヶ月も過ごすことになるんだ。
知らない人ばかりなのに、不思議と胸がふわっと高鳴った。

最後に、担当官は少し声を強める。

「このプロジェクトは、総理大臣の認可を受けた“国家的モデルケース”です。どうか安心して、自分らしく三ヶ月間を過ごしてください😊」

“総理大臣公認”。
会場がざわ…と揺れた。
国が関わっているって聞くと、不安よりも妙な期待が膨らむ。

私は小さく息をついた。
胸の奥に、不安とワクワクがぐるぐる混ざり合っている。
――これから三ヶ月、どんな出会いや出来事が待っているんだろう🫣

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