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第2章 復讐への序章


私の通う“滝見女子高校”は、どこの町にでもある普通の私立高校だ。

私は2年生。部活は文芸部。

文芸部はちょっと変わった部活で、他校でいう“図書委員”を兼任している。
活動拠点が図書室であり、部室として図書準備室をもらった以上は、当然かもしれない。
ただし、正規の図書委員はクラスから各1名選ばれている。その図書委員が文芸部員になることは滅多にない。

図書準備室は、もと司書室だが、もはや司書はいない。

さて、
二人しかいない2年生部員のもう一人、清水鏡子は、ポニーテールの自称“文学少女”だ。

しかし、文学少女の性格は激烈である。規則違反をした者に体罰を加えるのだ。

禅僧が座禅の修行で使う警策(きょうさく)を持っていて、私はもちろん、上級生さえ打つのだ。
なぜ、普通の女子高生が本物の警策を所有しているのかは謎だ。

今は4月。私と鏡子は新2年生というべきだろうか。
まもなく、新入生が新入部員として、この放課後の図書準備室に来ることになっている。

「入江若葉さん、気合い、入れよっか」

鏡子が言う。

テンションが最低なのを見抜かれている。
それは、言うまでもなく、今朝の悪夢のせいだ。

「今日は、お願いしようかな」
今日いちにち、だるくて仕方がなかったから、久しぶりの警策もいいかもしれない。

私は椅子を立つ。
鏡子はもともと立っていて、二人は向かいあった。

「はい、肩を出す」
警策を構えた鏡子が言う。

私は、ブラウスを手早く脱いだ。
ブラが露出するが、なんとも思わない。

理恵子先輩が、新入生を連れて入ってきたのは、そのときだった。

痴女にしかみえない私と、
おごそかに警策を構える鏡子がいた。

───文芸部へ、ようこそ。

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