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夢からサメても【4ページ短編】第10弾

第1章 シャーク×ダンジョン


ジャポーーーン!

俺は突然、海の中に投げ出されてしまった!

がはッ!?

俺は慌てて風のスキルを使って身体の周りに空気の層を作って呼吸する

暗い海の中に何かが漂ってくる


人間の上半身だ!?

女が目を見開いたまま絶命していた!

あいつは確か〈鮮血の乙女〉の魔法使いだ!

この近くにソフィーたちのパーティーが港の魔物を討伐しているのか!?


血の匂いを嗅ぎ付けて小者の魔獣たちがやって来る

俺は水の中で空気の泡を無数に作り出し、魔獣たちがひるんだ隙に〈かまいたちの風刃〉を繰り出し、海の藻屑にしてやる

海上に浮上するとここは荒々しい湾の外海だった

こんなに遠くまで飛ばされてしまったのか

何とか泳いで絶壁の岩場までたどり着くと、大岩の陰でぶるぶる震えている人影が見えた

ソフィーだ

全身噛み跡だらけで鎧も剥ぎ取られていた

俺は自分のマントを彼女の肩にかけてやった

「大丈夫か、ソフィー?お前のとこの魔法使いの亡骸を見たぜ、残念だったな
 他の仲間は…?」

青ざめたソフィーはぶんぶんと首を横に振ってうずくまってしまった
どうやら〈鮮血の乙女〉のパーティーはソフィーを残して全滅らしい


岩場から海を眺めていると巨大な背ビレが悠々と横切っていく姿を目にした

「あ、アイツだよッ!」

ソフィーが指さすその先には船よりも大きなサメの魔獣だった

取り逃がしたソフィーにトドメを刺しにやって来たのだ

俺は回復ポーションをソフィーに投げた

「それを使って加勢してくれ!」

俺はいちばんグレードの高い全回復のポーションを渡して、海に飛び込んだ


海の中から見るサメの大きさは信じられないほどだった

船より大きいどころではない、これはほとんどドラゴンと変わらない

〈鮮血の乙女〉たちのレベルがかなうような魔獣じゃない、ギルドに文句を言ってやらなければ


こちらに敵意があると認識したサメはすぐに攻撃してきた

素早くヤツの攻撃をかわすと、もと居た場所の磯の岩礁をバキバキと噛み砕いてしまった

魔法使いの女もきっとコイツに噛みちぎられたのだろう
魔法の詠唱を唱える時間もなかっただろう


俺は足下に空気を溜め込んで風のスキルを利用して水流ジェットでサメの周りをぐるぐると旋廻してやり、逃げ場を無くしてやった

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