
さめがみ【3ページ短編】
第1章 未開の村
「神さま、起きてはイケナイ!」
「起き上がりたくても出来ないんだよ!
ん?? え? 神さま??」
「アナタ神さまになった」
ボクは彼女が何を言っているのかわからない
女がテント内の魚油に火を灯してくれた
真っ暗だったテント内が明るくなる
女は着ていた服を脱ぎだし全裸になった
呆気にとられる
いままでここ半年、夜伽のように迫られたのは初めてだった
「アナタ神さまになった、
神さまの子どもツクル」
あいかわらず彼女が何を言っているのか理解できない
そこでようやく自分の身体の異変に気が付いた
起き上がろうとしても出来なかった理由がわかった
ボクの腕はサメに噛み千切られ、
代わりにサメの大きなヒレが縫い付けられていた
ボクは新しい神さまになってしまったようだった
彼女はボクに寄り添って腕の代わりになったヒレを優しく触る
「明日、足を新しくスルネ
その次はアタマ
アナタは神さまに近づくの
前の神さまは潜るのがうまかった
アナタはもっと泳ぎがウマイ」
そう言って彼女は妖しく笑ってくちづけをしてきた
そうか、あの大きなサメは前任の神さまだったんだな
数日後、
ボクは新しい神さまになった……
おしまい
