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愛されてると勘違いだったので、推し活をやめようと思います

第4章 隣同士

(一人は寂しいなんて思ったけど、まさかこんな展開になるなんて……)



それから花梨は頻繁に私の部屋に来るようになった。一人は寂しいからと私と食事をし、ベランダに出ては隣にいる小次郎さんと話をする。
私もたまに参加するけど、ほぼ二人の会話を聞くだけだった。



どうやら小次郎さんは地方の村のヒーローだった。村は小次郎さんたちによって守られていたが、仲間が次々とゾンビに襲われて仕方なく村を出たのだとか……。



「そんな、ゾンビまで出るなんてこわ〜い」



そう言うと、花梨は小次郎さんの腕にくっついた。
花梨はとうとう、小次郎さんの部屋にまで入り浸るようになった。窓を開けっ放しにしているのか、二人の会話が聞こえてくる。



「花梨、私もう寝るね」



そう声をかけるけど、隣から返事はない。
きっと彼とのおしゃべりに夢中なんだろう、そう思ってた。でも次の瞬間、



「……あっあっ、だめっ……。そんなことしたら、祐子ちゃんに聞こえちゃうっ……」

「!」



まさか、と思った。
花梨の声がうわずっている。
そしてかすかに聞こえる息遣い……。



私はすぐに窓を閉めた。
そしてベッドに潜り込む。



遅かれ早かれ、二人がそういう仲になるとは思っていた。花梨は可愛いし、痩せているわりにはグラマーだ。男性は花梨のような女性を好むだろう。
でも二人は出会ってまだ一週間。それに花梨は爆レッドと別れたばかりだ。



(そんなに早く切り替えられるものなの!? 爆レッドのこと、好きだったんじゃなかったの!?)





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