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微熱に疼く慕情

第10章 【囚われない愛と持続的な関係】






「めちゃくちゃ拗ねてるよ、早く俺の機嫌直してくれ」


「ん、どうやって…?」


「わかるだろ、意地悪すんな」



そんな風に言われても、ちゃんと声に出してくれないとわからないよ
足に手をついたまま、ようやく重なる唇
舌はまだ入れない



「コレで合ってますか?」


「もっとだろ?足りねぇよ」



そう言われてキスより首に手を回して抱き着いた
離れられないね、私たち
ずっと一緒に居て、結婚する選択肢も別れる選択肢もない2人
私の我儘で現状維持を許してもらった
本当は言いたい事たくさんあるだろうに
離れるのが受け止めきれなくて丸飲みさせちゃった
手を離すと何処かに行ってしまいそうで怖いってなかなか離してもらえなかった



「一華?キスしろって」



おーい、って笑われても抱き着いて離れないよ
ありがとうって何万回言っても足りない
顔を上げて見つめ合うの



「次、キスしたら……私、止まんなくなります」


「じゃ、早くキスしろよ、こちとらずっと寸止めで発狂しそうだ」


「抱いてくれるんですか?こんな私でも…」


「お前、俺の本気、舐めてるだろ?必死に押し倒しそうなの耐えてるっていうのによ」


「1つだけ、お願いがあります」


「なに?」


「前よりもっと、今の私を愛して……」


「わかった」



激しく奪われた唇は暫く離れる事はなかった
磁石みたいにくっついて舌を絡め合う
花びらハートのベッドに寝かされて重なる



「首輪、しててくださいね?ちゃんと飼い主の元に帰って来れるように…」


「もう容赦しねぇ、抱きつぶす」


「はい……」



この有り得ない展開こそが私たちの理想なのかも知れない
本気で泣いて、本気でぶつかって、
合わない価値観を擦り合わせるよりも、
終わらない未来を選んだ
選ばせたの




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