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微熱に疼く慕情

第7章 【錯綜していく哀情】






「一華、携帯鳴ってるよ?」


「ん……ちょっと…っ」



大智が私のスマホを手に取り、渡してきた
先輩…!?なんで!?
チラッと大智を見ると出なよって言うけど……
「大人しくしてるから」って一番信用ならないけど
出ないと怪しまれるかも…と通話ボタンをスライドした



(あれ?ビデオ通話じゃない…)


「ん……どうしたんですか?」


(あ、もしかしてもう寝ようとしてた?)


「はい……何かありました?」


(ごめん、もうそろそろすっぴんかなって思って電話しちゃいました)


「え……?あぁ、残念でした、まだすっぴんじゃないです」


(え?そうなの?)


「はい……実はちょっとうたた寝しちゃって」


(あー、ほら、すぐにベッド行きなって言ったのに)


「ごめんなさい……もう起きました、隼人さんのお陰です、ありがとう…」


(うん、もううたた寝しないでよ?夜遅くにごめんね)



間近で会話聞かれてる歪な空間
床に降りてる大智は物音は立てないけど
ジッとこっちを見ている
膝にキスしてきて向きを変えて座り直す
そしたら隣に座ってきたの
後ろからハグしてきて、やめて…と目で訴える



「はい、もう次こそ絶対にメイク落として寝ます」



髪を片側に寄せて首筋にキス……
ヤバい、絶対面白がってる
こうなってくると厄介だ



(あ〜じゃあさ、最後にもう一回だけ、顔見たいな)


「え?今…ですか?めちゃくちゃ寝起きですよ、ヤダ」


(顔見て、おやすみ言いたいよ……ダメ?)



耳の後ろにキスしてサッと離れる
弁えてる…とでも言いたいの?
足元で正座して待ってる
絶対変な事しないで…と目で訴えてからビデオ通話に切り替えた





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