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微熱に疼く慕情

第4章 【錯乱していく激情】






「どうしてだろうな?この前の、お前の最後に見せた顔がずっと頭から消えねぇんだよ……」



どうしよう、やっぱり泣いちゃう……
黒崎さんに場所は聞いていたそう
仕事で忙しいくせに来てくれたんですね
多分、この時間を空けるの大変でしたよね?
常に電話が鳴りっぱなしの人だった
ずっと仕事の話をされていた
私を調教したらすぐに帰る人だったから……



「直接会ってくれるか?2人で…」


「はい……507号室です」



鍵を開けると入って来た明島さん
ふわっと良い匂いのする香水
部屋に案内しなきゃなのにすぐに抱き着いてしまう



「この前はごめんなさい……怖かったんじゃないんです、もう嫌だとか思ってません」


「じゃ、あの涙は…?震えてもいたぞ」


「だって初めて、起きたら明島さんが居たから嬉しく思ってたんですけど、用事を思い出して帰るにも自力じゃ無理で……恥ずかしい姿を見られたくなかったんです……これ以上幻滅されたくなくて」


「おい、一華、俺がいつお前に幻滅するんだ?まだ体力が戻ってないから寝ていろと言ったら俺を恐怖の眼差しで拒んだじゃないか、相当…ショックだったんだからな」


「んっ……違います、ごめんなさい」


「何だよ、普通に思い違いしてたって事か?」


「……はい」



肩を掴んできた明島さんは頭を垂れる



「マジかぁ……それならそれで良いんだ、仕事も手につかなくて、会いに行くしかないと思った」


「私も、怒って先に帰っちゃったんだと思ってました……捨てられたんじゃないかって」



溢れ出す涙を拭ってくれる



「ったくお前は……こんな気持ちにさせられたのもお前が初めてだよ、捨てもしないし幻滅もしないよ、お前が思ってる以上にお前のこと……想ってるよ」


「私も……明島さんだけです、こんな気持ち」





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