
Kalraの怪談
第61章 新・第六十一夜目:さくらの精
なんだろうと思い、見上げましたが、そこには満開の桜があるだけでした。
何だよなにもないじゃないか、と思い視線をその女性の方に戻したとき、僕は腰が抜けるほど驚きました。
今、そこに立っていた女性が、桜の木にロープを掛けて、首をつってぶら下がっていたのです。
ゾッとして、そのまま自転車に飛び乗ると、逃げるようにその場を離れました。
5分ほど自転車を思いっきり漕いだところで、ふと、「首をつったばかりなら助けなくてはいけなかったのでは?」と思いました。しかし、とてもじゃないけど、あの場に戻る気にはなれません。
そこで、110番をして警察の人を呼びました。
パトカーのサイレンが聞こえたのを見計らって、僕は例の桜のもとに戻ったのですが、不思議なことにそこには何もなかったのです。
いたずらだと思われる、そう思って、ダメ元でお巡りさんには自分の見たものを説明しました。しかし、実際に死体はおろか、人の影すらありません。
信じてもらえないだろうな・・・そう思ったのですが、パトカーに乗っていた制服警察官は二人して顔を見合わせて言いました。
「ああ、いつものことだから・・・」
そう言って、こんな話をしてくれたんです。
この桜の木で、10年くらい前に女子大生が首を吊って死んだ。
それ以来、年に数回のペースで110番が入るけど、行ってみたら何もないということがあるのだという。
「うちの署じゃ、有名な話だよ」
そう言って警察官は笑ったのです。
それを聞いて、安心したわけではないですが、自分だけではないと思って少しホッとしたのは確かでした。
ところが、
ただ・・・ともう一人の警察官が言いました。
「いつも110番は女性の声で『〇〇桜で首を吊ります』というものなんだよな・・・
実際に、首をつった人を見たっての・・・お前聞いたことあるか?」
そう言ったのです。もう一人の警察官も知らないと言いました。
でもたしかに僕は見たのです。
桜の木にぶらりとぶら下がる、ワンピースの女性の姿を。
あれは一体何だったのでしょうか?
何だよなにもないじゃないか、と思い視線をその女性の方に戻したとき、僕は腰が抜けるほど驚きました。
今、そこに立っていた女性が、桜の木にロープを掛けて、首をつってぶら下がっていたのです。
ゾッとして、そのまま自転車に飛び乗ると、逃げるようにその場を離れました。
5分ほど自転車を思いっきり漕いだところで、ふと、「首をつったばかりなら助けなくてはいけなかったのでは?」と思いました。しかし、とてもじゃないけど、あの場に戻る気にはなれません。
そこで、110番をして警察の人を呼びました。
パトカーのサイレンが聞こえたのを見計らって、僕は例の桜のもとに戻ったのですが、不思議なことにそこには何もなかったのです。
いたずらだと思われる、そう思って、ダメ元でお巡りさんには自分の見たものを説明しました。しかし、実際に死体はおろか、人の影すらありません。
信じてもらえないだろうな・・・そう思ったのですが、パトカーに乗っていた制服警察官は二人して顔を見合わせて言いました。
「ああ、いつものことだから・・・」
そう言って、こんな話をしてくれたんです。
この桜の木で、10年くらい前に女子大生が首を吊って死んだ。
それ以来、年に数回のペースで110番が入るけど、行ってみたら何もないということがあるのだという。
「うちの署じゃ、有名な話だよ」
そう言って警察官は笑ったのです。
それを聞いて、安心したわけではないですが、自分だけではないと思って少しホッとしたのは確かでした。
ところが、
ただ・・・ともう一人の警察官が言いました。
「いつも110番は女性の声で『〇〇桜で首を吊ります』というものなんだよな・・・
実際に、首をつった人を見たっての・・・お前聞いたことあるか?」
そう言ったのです。もう一人の警察官も知らないと言いました。
でもたしかに僕は見たのです。
桜の木にぶらりとぶら下がる、ワンピースの女性の姿を。
あれは一体何だったのでしょうか?
