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子供(オトリ捜査スピンオフ)

第3章 転機

家に着くと、翔は、2階に上がりいつものように本を読んでいるらしかった。

私は、食事の準備に取りかかった。といっても、作る料理は2人分だ。最近旦那は、夕食をほとんど家では食べなくなった。家で食べるときだけ、出勤前に話すか午前中にメールが来る。それ以外は、外食だ。

同僚と仕事の話をしながら食べてくることが多いらしい。

今朝も、夕食はいらないと言われていた。

夕食の準備をしていると、

「お母さん、ご飯まだ〜?」

と言って翔が後ろから抱きついて来た。私は驚いて、

「えっ?まだだけど、どうしたの?」

と聞くと、翔は、

「お腹すいた!」

と、抱きついたまま言った。私は、

「もうすぐ出来るから座ってて!」と言うと、

「はい!」

と言って、席に座ると2階から持ってきた本を読み始めた。

いつもは、呼ばないと2階から降りて来ないのに、今日は自分から降りて来て、しかも私に抱きついた。自分から私に抱きついて来るなんて、翔が小学生になってからは心当たりがない。学校で何かあったのだろうか?

翔のいつもと違う様子に、私は少し心配になった。

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