ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー
第4章 クレリア・ラーナー
1時間後、ふたりはレストランを出た
少々高額となってしまった夕飯だったが、得たものもある
クレリアいわく、デミトリッヒという謎の男の子はいつしかカルト教団のみこしに担がされ、あれよあれよとカリスマのような存在に祭り上げられるようになっていたという
ここ最近は周囲を幹部たちに護られているため、本当に存在しているのかどうかも怪しい雰囲気になっていたが、こうして実物と遭遇したわけだ
「どうしたんだ、フィル? さっきから黙り込んじゃってるけど? 肉の支払いぐらいでそんなに落ち込むなよッ!」
クレリアがフィルの背中をバンバン叩くのだが、フィルはいつものような文句も言わなかった
「……やはりアイツは本当に居たんだ……、
ボクはここまでやって来た甲斐がありましたよッ!」
フィルは確信と決意に満ちた強い眼差しをする
あの少年の正体はなにも知らない
だけど、アイツがリンダにした事は許せない
それにあの1年前の病院の屋上での言葉
アイツは“ブラッディ”の事も知っていた
もっと言うと“ブラッディ”の事を格下扱いしたようなもの言いだった
アイツこそが元凶!
アイツこそ、葬り去る本当の敵!
フィルは何年もかかって、ようやく最終地点にまで辿り着いたと実感する
まだ自分にはアイツと対峙出来るほどの力は無い
でもすぐ目の前までたどり着けたのだ
この廃棄コロニーの中に!
“絶対、逃さないぞ”
フィルは強い怒りと
巡り会えた喜びのふたつの激しい感情に満ちている
「へぇ? キミもそんな顔するんだね?
いいんじゃない?」
クレリアは笑っていた
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