ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー
第4章 クレリア・ラーナー
フィルが教会に戻ってきたとき、すでにクレリアは小屋に戻っていて昨日と同じような鍋を作っていた
「荷物を取りに行くだけでどれだけ時間くってんだ? わたしは1日中歩き回っていてクタクタなんだ!
メシを食ったら洗い物して、マッサージくらいしておくれよ?
それに明日からはキミも食事を頼むよ?
食いぶちが増えた分わたしは稼ぎに行かなきゃならんからな!」
「食事の用意や洗い物は全然やりますケド、なんでボクがアナタの足のマッサージまで…?」
「キミ、弟子入りしにわざわざサイド1までやって来たんじゃないの?
私の高度な儀式を学びたくて飛び込んできたわけだよね?
覚えたいんでショ?悪魔祓い??
ホントにヤル気あるの??
あーー、ムカつく!
はいっ!キミ、洗濯も担当ねッッ!!」
クレリアは散々当たり散らしてワインを飲み干した
「……わかりましたよ、洗濯でも掃除でも身の回りのことはやりますよ
そのかわりちゃんと指導して下さいよ?」
フィルも食事の前に簡単な祈りと十字をきって鍋をつついた
“ゆうべも同じような鍋だったよな?
この人、料理苦手なんだろうな……”
「クレリアさん、稼いできたっておっしゃってましたけど、まさかアヤシイことしてきたわけじゃないでしょうね!?」
「まぁ、確かに魅力的なワタシのことだからな、夜の店にでも出れば即ナンバーワンなんだろうが、安心しろ
ちゃんと信者さまから預かってきた大切な寄付金だ!
退役軍人も多いし、民間人でも戦争被災者が多いんだ、みんながみんな日曜ミサに来てくれるわけでもないからな
こちらから出張ミサに出向いてるんだ
戦争で娘を亡くした親や、戦争に加担して今でも人の命をあやめたことを悔いている者もいる
みんな苦しんでるからなぁ〜」
フィルはほっとした
夜の店にクレリアが出るとは思えないが、今朝出会った女性は2人とも夜の仕事と昼の仕事を兼ねているようだし、まさかクレリアが牧師の立場で良からぬ詐欺行為でもしてるのではないかと不安になる
「まぁ、尻を触ってくる老人も居るから寄付金は倍になったけどな!」
クレリアは思い出したかのように憤慨し始め鍋の中をぐちゃぐちゃとかき回していた
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