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diary

第1章 Prologue



当然昨日までは幼馴染だった楓がいきなり執事になって黒川と呼びなさいって言われるから私は驚いた


言われた通り黒川と読んでいたがやっぱり楓は楓。黒川じゃない。楓に前みたいに気軽に話しかけてよと言った


「私はもう楓ではありません。執事の黒川です。お嬢様」



「お嬢様ってなに…。楓は楓だよ」



私がそう言うと楓は黙った。これは楓の覚悟なんだ。



「わかった。これからは黒川って呼ぶ。でも約束して。私が楓って読んだ時は楓になって欲しい。そんなにたくさんは呼ばない。幼馴染の楓と話したくなった時だけだからっ」



「…………できません」



「黒川。私の最初のおねがい。主の言うことが聞けないの?」



私は意地悪な言い方をした。こうでもしないと楓はいいよって言ってくれない



「………分かりました。ですが私も条件があります。2人きりの時だけですよ。幼馴染の楓は」



「うん。わかってる。約束」



私は少し涙目でそう言った



「約束」



そう言って楓は私の小指に指を持って指切りをした。その後ポンポンと頭を撫でられた。



楓が黒川になってから初めて見る幼馴染の楓。



私はまた涙目になったがぐっと堪えた







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