テキストサイズ

お人好しは何かと巻き込まれる

第6章 ヴァンパイアの気まぐれ

サッと血の気が引き、叫ばないように
歯を食いしばる。

「おや、気がつきましたか。あの娘と
引き替えに良いものを見つけました」

目が覚めたのに気付くとヴァンパイアは
ルシアリアに近づき顎を掴み顔を確かめる。

その手は氷のように冷たくて悪寒が膨れ上がる。

「そんなに怯えなくてもすぐには
いただきませんよ。…ちょっと
味見をするだけ…」

動けないルシアリアの顔を横に向けると
白い首元に鼻を寄せる。

「あぁ、なんていい香りなんでしょう。
あの娘より魔力も高そうだし、その負けん気の
強い目を甚振るのはもっと楽しいでしょうね」

怖気づくまいと睨んでいたのが仇となった。
逆に喜ばせてしまったがへりくだるわけには
いかない。

「触らないで!」

手を振り払おうとするが掴まれた顎は
固定されて動かせない。

ベロン

「ひっ」

大きく首元を舐められた。その感触に
冷や汗が噴き出す。

「あぁ、美味しいですねぇ」

ニヤリとヴァンパイアが微笑む。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ