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『エリーゼのために…』

第1章 エリーゼのために…

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 え、あ、そ、そうなのか?
 その時、心に疑問が、あ、いや、違うんだ…
 実は内心、ずっと心の奥にモヤモヤと蠢いていたある疑問…
 ううん、違和感が浮かび…
 スーっと氷解したんだ。

 そう、スーっと心の中で囁いてきたんだ。

 それは…
 やはり、舞香ちゃんは…
 初めてじゃない、いや、セックスというこの挿入行為は初めてじやない。

 あの先輩と既に経験済みなんじゃないか…
 という疑問と、訊きたくても訊けないという、ずっと心の奥にモヤモヤと蠢いていた違和感が…
 スーっと氷解したんだ。

 いや、疑問ではなく...
「あぁん、や、やん、んん…」
 快感に喘ぐ姿に、この疑問は確信に変わったんだ。

 だって…
 だとすれば、今までの僕に対する積極的さと、愛し合う過程の優しく明確なリードという疑問は簡単に解明できるし、それになによりも…
 コンドーム装着の慣れたリードも簡単に解けるから。

 そして初めてのはずなのにこの快感に喘ぐ姿、ううん、妖艶な艶気が伝わるこの色気が…
 少なくとも初めてではない、いや、間違いなく先輩と、何度も…
 シていたに違いないんだ。

 全ては、それで、合致がいくんだ…

「あん、し、しゅんくん、す、すご…いぃ…
 ん、あ、な、なんか、なん…かぁぁ…」

 ギシッ、ギシッ、ギシッ、ギシッ…
 ギシッ、ギシッ、ギシッ、ギシッ…

「あ、あぁぁ…んん…」

 僕は、そんなことを逡巡しながらも、まるでオスの本能に導かれるように…
 ううん、いや、違う…
 快感を、もっと強い快感を…
 射精感に高ぶり、昂ぶりたくて、必死に腰を動かし、突いていく。

 ようやく快感に痺れ、蕩けてきたんだ、…

 それに、舞香ちゃんを知って、いや、好きになって…

 ううん、愛おしくなってきてから、モヤモヤと蠢いていた心の不惑の燻りの想いが解けて...

 なんとなくスッキリしたのと…

 もうひとつ…

 やっぱり前に、先輩に抱かれ、愛されていたんだという…

 ヤキモチ、嫉妬心に…

 改めてこの舞香ちゃんに対する想いが強く高まってきた心の騒めきに…

 もっともっと感じさせたい…という衝動が強く沸き起こってきていたんだ。

 ギシッ、ギシッ、ギシッ、ギシッ、ギシッ、ギシッ、ギシッ、ギシッ…

 僕は強く、激しく、舞香ちゃんを愛していく。



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