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マッチ売りの少女と死神さん

第7章 1月3日…ただ触れていたいから



「く…っ…ちょっと、うるさい」

「ん、んぶぅっ!」

サラの顔の下半分をホーリーの手が覆う。

「派手にイってる最中にごめんだけど…ここはただの宿屋」

カク、カクと糸の切れた人形のようにサラが頷く。

「人でも殺してるのかと思われるでしょお?」

ボロボロ涙をこぼしながらサラが頷く。

「痛い?」

また頷きかけたサラが、ピタと止まった。

「愛してるよ」

止まったままのサラは相変わらず体だけを震わせていた。

そんな彼女を見つめていたホーリーが、こつんと額をサラの頭の上にくっつける。

「……話さないのは、足りないから。 その前に伝えることがありすぎて、僕はこんなやり方しか知らない。 分かって欲しいとも思わない。 酔ってサラちゃんを叩いたお父さんは、朝になって君に謝っていたよね……時には泣きながら? 君は、その時嬉しかった? 家の家計や酒を買うために街角に立ち続けた、その見返りはお父さんの涙?」

「………」

彼の言葉をうまく咀嚼出来ない。

空っぽの単語だけがサラの脳内を回っていた。


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